"心の防衛システム" - 望まない現実を生み出す仕組み
こんにちは、SECURE HOMEの勇心(Yushin)です。
本日の話題は、『心の防衛システム』についてです。
少しピンと来ない内容かもしれませんが、もしあなたが今、望まない不本意な現実を体験しているとしたら、その体験があなたの無自覚な思考や行動によって生み出されているかもしれないと聞いたら、どのように感じますか?
「そんなはずはない。私はいつも考えて行動している」と思われるかもしれませんが、実際には多くの思考と行動が無自覚に行われています。
今回は、自分の思考や行動を深掘りすることで、あなたの不都合な現実に変化を起こせるかもしれないというお話をさせていただきます。
最後には、『心の防衛システムを紐解く実践ワークシート』もご用意していますので、ぜひ試してみてください。
はじめに
はじめに、私たちの現実は何によって形作られているのかを考えてみましょう。
私たちが日々経験する出来事や感じる感情、そして取る行動の背景には、どのようなメカニズムが働いているのでしょうか。
特に、無意識の内面がどのように現実を作り出しているのかについて理解することは、自分自身の行動や思考パターンを見直し、望ましい変化を起こすために非常に重要です。
では、具体的にどのような要素が現実を形作っているのでしょうか。次に、その構成要素について詳しく見ていきましょう。
現実を作る構成要素
私たちの現実は、感情、思考、行動という三つの要素によって形作られています。これらの要素は相互に影響し合い、私たちがどのような現実を経験するかを決定します。
どれか一つの要素が変わることで、他の要素にも変化をもたらし、結果的に私たちが経験する現実そのもが変化していきます。
また、感情、思考、行動の三つの要素には、人それぞれに特有の反応のパターンがあり、多くの場合、そのパターンは本人が無自覚です。
心の防衛システム
無自覚な反応のパターンが私たちの現実をどのように作り出しているのか、そのメカニズムをここでは、「心の防衛システム」と呼びます。
私たちが日常で経験する現実は、過去の思考と行動に大きく依存しています。
これらの思考と行動の多くは、私たちが意識していない無意識のレベルで行われています。
実際には、私たちの意識の中で活動的な部分(顕在意識)は約5%に過ぎず、残りの95%が無意識(潜在意識)とされています。
この無意識の部分が、私たちの日々の思考や行動を大きく支配しています。
以下は、人の無意識な内面がどのように現実を作るのかを示した「心の防衛システム」の図解です。
それぞれについて説明していきます。
あなたにとっての不都合な現実
日々の生活の中で、望まない、不都合だ、不本意だと感じる体験は多々あります。
例えば、目標達成のために自分で決めた毎日のルーティンをこなせなかったり、結局いつも周囲に合わせてしまったりします。
また、「本気なのに部下がそれを分かってくれない」「本当はもっと力を発揮できるはずなのに、なぜだかできない」といった不都合な体験や現実もあるでしょう。
こうした体験には、多くの場合ネガティブな感情が伴います。
あなたの心のシステムを紐解くための出発点は、こうしたネガティブ感情を伴う不本意な体験にあります。
具体的な思考と行動
不都合な体験が生まれる背景には、それに相応しい具体的な思考と行動が存在します。
例えば、「本当はもっと力を発揮したいのにできない」という不都合な現実がある場合、その人が実際に考えていることは「自分に本当にできるのだろうか?」という疑念です。
そして、その疑念に基づいた行動として、「機会があっても断る」などの選択をすることがあります。
こうした思考と行動が、不都合な体験を引き起こす要因となっています。
代表的な思考と行動のパターン
人の思考や行動には癖があり、それがパターン化しています。心理学では、これを生存戦略や防衛戦略と呼びます。
特定の状況で、「こう考えやすい」「こんな風に物事を捉えやすい」「だからこんな行動を取りやすい」といった特徴が現れます。
個々の思考や行動をさまざまな体験において観察すると、その中に癖やパターンが見えてきます。
例えば、失敗を恐れて完璧主義になる、あるいは機会や体験から逃避するなどの傾向が見られます。
ネガティブな思い込み
上記のような思考や行動のパターンを生み出す背景には、ネガティブな信念や強力な固定観念があります。
これらの信念は、多くの場合、過去の経験や学習によって形成され、その人の行動や思考に深く影響を与えます。
例えば、「私は不十分な存在だ」「私は他人に受け入れられない」といった信念が根底にあると、完璧主義や逃避行動が強化されます。
ネガティブな信念や思い込みを表す言葉には、次のような定型表現があります。
- 私は〇〇だ。
- 私は〇〇でない。
- 私には〇〇がない。
- 私は〇〇できない。
- 私は〇〇してはいけない。
- △△は〇〇だ。
これらの信念や強力な固定観念が、気づかないうちに本人の思考や行動を規定しています。
痛みと怖れの原体験
無意識の思考と行動のパターンである防衛戦略は、主に幼少期の体験から形成されます。
特に、養育者(多くの場合は母親)との関係がこれらのパターンを形成する上で大きな役割を果たしています。
幼少期に経験した心的な痛みやトラウマは、ネガティブな信念を形成し、それが防衛戦略の基礎となります。
こうした痛みや恐怖は、二度と同じ苦痛を味わいたくないという恐れの感情につながります。
この経験は、生き延びるために必要なこととして無意識のうちに認識され、それを回避するための思考と行動のパターンが確立されます。
そして、このパターンが生涯にわたって、私たちの行動や反応に影響を与え続けます。
私の "心の防衛システム"
ここからは、具体例として私勇心の『心の防衛システム』を解剖して、皆さんに紹介したいと思います。
まず私の痛みと怖れの原体験から先に紹介しておきます。
つながりが絶たれる離別体験
上記の写真は、私の痛みを伴う決定的な体験を表したものです。長野の田舎にある祖父の家に預けられ、父親とお姉ちゃんが私を置いて地元に帰っていく風景です。
母親は、私が2〜3歳の時に癌を患い闘病生活を送っていました。胃の70%を摘出しなければならない大変難しい手術で、なんとか一命をとりとめることができましたが、とても子育てができる状況ではありませんでした。
父親も単身赴任で東京で仕事をしていたため、ほとんど家にはおらず、養育者不在の状態で私は育ちました。
今思えば、家族も皆最善を尽くしていたと理解できますが、当時の2歳、3歳の私にとっては、両親との決定的な離別体験であり、大きな悲しみと絶望感を伴う痛みの体験でした。
私にとっての不都合な現実
このような痛みを伴う幼少期の体験は、現在の私の不都合な体験にどのように影響を与えているのでしょうか?
私が経験している不都合な現実は、人間関係が希薄で自分から積極的にいけない、孤独を感じやすい、といったものです。
さらに具体的な悩みとしては、以下のようなことが不都合な現実として現れていました:
- 担当しているコーチングのクライアントが数ヶ月で離れてしまう
- お客さんとの商談で毎回クロージングができない
具体的な思考と行動
この不都合な現実に対して、私が実際に考えていたことややっていた行動は、以下のようなことです。
- 思考
何にも縛られたくない/自由であることが大事/相手も勝手にすればスタイル - 行動
人と決して群れない/一人でいる/陰で努力はめちゃする/来る者拒まず去る者追わず/都合が悪いと積極的に関係を終わらせる
代表的な思考と行動のパターン
実際に自分がしている行動を見てみると、「そりゃその現実が起こるだろう」と思いますが、当時は「なんでなんだろう?」と不思議に思っていました。
自分の行動をよくよく観察してみると、そこにパターンが見えてきました。
- 依存の回避
人に頼ったり、逆に過度に頼られたりしないようにすることで、親密な関係を避ける。 - 孤独の回避
上記とは裏腹に、孤独にはなりたくないため、自己完結できる努力をして他者より秀でることで、周囲に関心を向けてもらい、人と繋がろうとする。
これが私の代表的な生存戦略です。ここからわかることは、依存しすぎず、孤独になりすぎずという両極端の微妙なバランスを保つことに、ほとんどすべてのエネルギーが注がれていたということです。
言ってみれば、アクセルとブレーキを全開に踏んで進もうとしている車のような感じです。そんなことをしていて、不調和が起きないはずがありませんね(笑)。
ネガティブな思い込み(否定的な思い込みや固定観念)
上記のような思考と行動のパターン(=生存戦略)を起こすためには、前提として以下のような否定的な思い込みや固定観念が存在していることが示唆されます。
- どうせ人は離れていく。
- どうせ私はひとり。
- 安心できる深い繋がりなんてない。
人が特定の信念や思い込みを採用するに至るには、決定的な原体験が幼少期にあることがほとんどです。
痛みと怖れの原体験
その原体験が、先ほど示した両親との離別です。それを体験した私は、非常に大きな心的な痛みを感じました。
物理的に引き離されることで、親という絶対的なつながりが絶たれる体験です。
そこには、私にとって非常に大きな絶望と、自分ではどうすることもできないという無力感がありました。
その痛みに対処するために、子どもながらに「どうせ人は離れていくし、結局人はひとりだし、絶対的な深い繋がりなんてものは始めからない」と考えざるを得なかったのだと思います。
そもそもないものだと思えば、自分を納得させて、痛みを和らげることができますから。
そんな風にしてまで生き延びようとしていたんだと考えると、なんだか尊い気持ちになります。
そして、誰しも大なり小なりこのような体験を持っているのだと思います。
このように、幼少期の養育者との関係(=愛着)がどのように形成されたかということが、その後の反応に大きな影響を与えていることをご理解いただけた思います。
愛着については、以下の記事をお読みください。
*勇心の心の防衛システムのメカニズム
心の防衛システム実践ワークシート
ここまで読み進めていただいてありがとうございます。
あなたも、自分の心のシステムを紐解きしたくなりましたか?
そう思った方は、ぜひ下記のワークシートを使って試してみてください。
用意された質問に回答していくと、あなたの防衛システムが垣間見えるはずです。
🎁 心の防衛システム実践ワークシート 🎁
取得方法 🎁
- 下記より『壁家屋』公式LINEをお友達追加
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おわりに
最後まで読んでくださって本当にありがとうございます。
いかがだったでしょうか?本人にとって不都合な現実が繰り返される仕組みに少しでも興味や関心を持っていただけたら嬉しく思います。
人は誰しも、否定的な信念や思い込みを持っているものです。それが、自分の思考や行動を規定して、望まない現実を作り出しているかもしれない、と受け入れることには勇気が必要です。
しかし、「もしかしたらそうかもしれないな」という探究心を持つことで、そんな自分をもっと理解したいという気持ちになるかもしれません。
これが自己探求のきっかけになれば幸いです。
参考図書
シュテファニー・シュタール. 「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある
由佐美加子, 天外伺朗 _ ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー